島根県隠岐地方には、隠岐の島町を中心とする島後と、西側の諸島である島前のどちらにも素朴で古風な神楽が受け継がれています。このうち島前神楽は、西ノ島・中之島・知夫里島の三島で行われている神楽です。元々は神楽専門の太夫である「社家(しゃけ)」が担っていましたが、現在は地域の方々が担っており、神事に限らず雨ごいや大漁祈願、病気平癒を祈る巫女が重要な役割を果たす「祈祷の神楽」として伝えられてきました。乳児の成長を祈る巫女舞の「舞い児(まいこ)」など独自の演目も見られます。常設舞台はなく、仮設舞台を設置して行う舞は、畳二畳敷きが基本のため、いかに動きのある大きな舞ができるかが演技の要であり魅力のひとつとなっています。 【県指定無形民俗文化財】
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